はじめに
高尾山に行った際、薬王院で参拝していると、近くで柏手の音が聞こえました。
「神社と間違えてしまったのかな?」
これまでを振り返ってみると、お寺で柏手の音を聞くことがあります。お寺でもそうするものだと思っているのか、うっかり間違えてしまったのかはわかりませんが、久しぶりの参拝などで間違えやすい作法ではないかと思います。今回は、改めてお寺の参拝方法について整理してみることにしました。
参詣との違いについて
「参詣」と「参拝」は、どちらもお寺や神社を訪れる際に使われている言葉ですが、意味が異なります。
「参詣」は、神社仏閣を訪れること。
「参拝」は、神社仏閣を訪れた上で、神仏を拝む行為を指す。
例えば、観光でお寺を訪ねただけなら参詣、きちんとお参りをすれば参拝なのだそうです。
お寺の参拝方法
山門で一礼する
山門は、悟りの領域である仏殿への入り口。
- 身だしなみを整え、心を鎮めて一礼する ※この際、帽子は取ること
- 敷居は踏まず、(端を)またいで通る
- 左右の山門に仁王像が安置されている場合は、両像に手を合わせるとよい
- 参道は神社と違い、どこを通っても構わないとされている
手水舎で手と口を清める
基本的には神社と同じ。手水舎がない場合は、そのまま本堂前に進む。
【手順】
- 右手で柄杓を持って水をすくい、左手に水をかけて清める
- 柄杓を左手に持ち替えて、右手に水をかけて清める
- 右手に持ち替え、左手で水を受けて口をすすぐ(すすいだ水は吐き出す)
- そのまま左手をもう一度水で清める
- 最後に柄杓を立てて、残った水で柄杓の柄を清める
常香炉がある場合は、煙で体を清める
- 常香炉では、仏様にお香をお供えし、その煙を浴びて心身を清める
- 体の悪いところに煙をつけると、治るともいわれている
献灯・献香する
- 蝋燭や線香が用意されている場合は、献灯と献香を行う
- 蝋燭と線香を購入し、火をつけて燭台と香炉にそれぞれ捧げる
【注意点】
- お線香の火は口で吹いて消さず、手で仰いで消す
- 他の参拝者が灯した火は使わない
本堂に参る
手荷物を下ろす
- 参拝で礼をする際には、手荷物を持ったままではなく地面に置くようにする
お賽銭を入れる
- お寺でのお賽銭はお布施であり、欲や執着を捨てるための修行の一つ
- 金額に決まりはない
- 大きな音を立てたり、投げ入れたりしないよう注意して入れる
祈願する
- 鈴などがあれば3回鳴らし、軽く一礼をして手を合わせる
右手が仏様、左手が自分を表すとされる。
参拝は、仏様と一体化することができる機会。静かな気持ちでお祈りをする。
- ご利益祈願をした後、「南無○○○」と唱えたほうがよいとされている
この際、○○○の部分には祀られている本尊の名前が入る。
例)阿弥陀様なら南無阿弥陀仏、観音様なら南無観世音菩薩、
お釈迦様なら南無釈迦牟尼如来
- 手を合わせたまま、深くお辞儀をする
最後に一礼する
- 無事に参拝できたことに対して、感謝の一礼をする
山門を出る
- 山門から出る際、本堂に向かって合掌一礼する
- 納経したり、御朱印をいただいたりする場合は、参拝後に納経所に申し出る
おわりに
「お寺では柏手は打たない」といった知識は持っていても、細かい作法まで把握している方は意外と少ないのでしょうか。手順通りに手を合わせて参拝をすることで、日常から切り離され、静かに心を落ち着ける効果もあるかと思います。神社の参拝方法と混同せず、ぜひ正しい作法で参拝したいですね。