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言えないことが不調につながる?休職することになったもう1つの大きな理由と「学習性無力感」

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以前、こちらの記事で不調から休職に至った原因についてまとめました。今回は、そこには書かれていないもう1つの重要なポイントについて、私自身の例をもとに振り返ってみたいと思います。

 

不調から休職に至ったもう1つの原因

 

休職に至った直接的な原因について、以前の記事にもあるように“逃げるのが下手”だったのはその通りです。自分が潰れてしまう前に、異動するなり辞めるなりすることも重要なことですが、もう1つ大切なことがあります。それは、“言葉で表現すること”です。私は言葉で表現せずに我慢した結果、それが身体的な症状として現われたのだということに気づきました。

 

最近の休職前に「言葉で表現しなかった」こと

思えば、言葉で表現しなかったことはいくつもあります。最近の休職を例に挙げて、振り返ってみます。

 1つ目は、職場の環境改善について、上司に相談しなかったことです。人員が不足していることなど要望を伝えたことは何度かあるのですが、難しいこととして受け入れてもらうことはできませんでした。違う人にも相談するなどして改善してもらうことが必要だったと思います。しかし私は、他のメンバーが言ってもだめだったことから、諦めてしまいました。

 

2つ目は、一緒に働く人に対しての要望を伝えなかったことです。リーダーに対して、周囲に対する態度や接し方などで気になることがあったのですが、「これまで多くの人が苦労してきた問題だし、言っても変わらないだろう。その人の性格だから仕方ない、聞き流すようにしよう。自分が感じ方や対応を変えるしかない」と、これもまた諦めていました。ただ、このことによって過去に体調を崩した人が何人かいたようなので、何らかの対策は必要でした。

 

3つ目は、自分の希望をリーダーに伝えなかったことです。上司に対しては、面談などで話をしていましたが、一緒に現場で働くリーダーに対して、今後どのようなことに取り組みたいかなど、あまり具体的な話をしませんでした。未経験の仕事だったため、はじめのうちは仕事を覚えることが中心で、かつ日々の業務に追われていたこともありますが、一方でこの職場に長くはいないだろうと思うようになっていたからです。辞めたい気持ちと、やりたいことに取り組むためにもう少し頑張ろうという2つの気持ちの間で葛藤し、中途半端な気持ちでいました。

 

自分の気持ちや考えをもっと表現できていれば、それが身体の症状として現われることはなかっただろうと思います。自分の心の声を聞かなかったから、違う形で訴えられたのだと感じます。しかし、言葉で表現する意思がなかったのではなく、簡単に表現することができなかったからこその結果でもあります。 

 

言葉で表現できなかった理由 

 

課題意識と「他人軸」的思考 

なぜ表現できなかったのかというと、自分が言葉で表現したときに、相手がどう反応するか、どのように思われるか、周囲にどのような影響を与えるのか、そういったことを他人軸で考え、気にし過ぎていたからではないかと思います。それは、よく言えば「配慮」かもしれませんが、相手の読めない反応に対する「不安」であり「恐怖心」だったのかもしれません。そして、いろいろなことに敏感に気づいてしまう気質だからこそ、課題意識もより多く生まれて、我慢することも余計に多くなりました。

 

言葉で表現できないのは、特に苦手な相手に対して見られる傾向です。今後、私が組織で働きたいかどうかは別として、相手がどのようなタイプの人であっても、そういった問題や要望、希望を“言葉で表現する”ことができない限り、組織で働くことは難しいだろうと思います。

 

「学習性無力感」の可能性

加えてもう1つ思うのは、伝えるのが面倒だとか、そこまでしなくてもいいかという気持ちがあったということです。精神的にも疲れ、「もういいや」とあきらめの気持ちが出てくると「自分さえ我慢すればいい」「目の前の仕事さえやればいい」と思うようになるのです。私のその感覚は、まさに「学習性無力感」だったかもしれません。

 

「学習性無力感」とは、心理学者マーティン・セリグマンが1967年に発表した概念です。抵抗することも回避することも困難なストレス状態に長期間さらされ続けると、そうした不快な状況から逃れようとする自発的な行動すら起こらなくなる現象をいいます。セリグマンらは、犬を用いた実験によって「自分が何をしても状況は変わらない」という思い=無力感が体験から学習されるものであることを発見しました。

 

学習性無力感(がくしゅうせいむりょくかん、英: Learned helplessness)とは、長期にわたってストレスの回避困難な環境に置かれた人や動物は、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという現象である。他の訳語に学習性絶望感、獲得された無力感、学習性無気力がある。

 

なぜ罰されるのか分からない(つまり非随伴的な)刺激が与えられる環境によって、「何をやっても無駄だ」という認知を形成した場合に、学習に基づく無力感が生じ、それはうつ病に類似した症状を呈する。1967年にマーティン・セリグマンらのオペラント条件づけによる動物実験での観察に基づいて提唱され、1980年代にはうつ病の無力感モデルを形成した。

 

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

 以前の記事で挙げた“逃げるのが下手”なことにも、学習性無力感が影響しているかもせしれません。それを防ぐには、学習性無力感に陥る前に、日頃から言いたいことを“言葉で表現する”習慣を身につけ、必要に応じて“早めに逃げる”ことが大切なのだと思います。